OLの餃子食べ歩き

OLの餃子食べ歩き

27歳のやさぐれOLが都内の餃子を食べ歩きます。

28歳OLのUSCPA受験記録

こんにちは。ななです。

はたまた餃子と全然違う記事の投稿です。

今年USCPAに全科目合格しました。受験しているときから色んな方にUSCPAに関する質問を受けましたので、受験記録も兼ねて受験記録をブログに書こうと思います。

USCPAの受験を検討されている方の参考になれれば幸いです。

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 目次

 

 1. USCPAとは

1.1 USCPAの概要

United States Certified Public Accountの略であり、米国の公認会計士資格を指します。米国では州ごとに公認会計士登録が行われ、合格すれば、合格した州の公認会計士として仕事ができるようになります。具体的には、下記の仕事ができるようになります。

  1. Prepare audited or reviewed financial statements and file a report with the Securities and Exchange Commission (SEC). All public companies must file audited financial statements with the SEC.
  2. Represent clients in front of the Internal Revenue Service. (However, a non-CPA who is an attorney, enrolled agent, enrolled retirement plan agent, or enrolled actuary can also represent clients.)

参照:https://www.accountingedu.org/what-does-a-cpa-do.html

2019年5月時点で、約65万人のアクティブライセンスを保有するUSCPAがいます。

1.2 USCPAの試験内容

下記の4科目の試験です。財務会計を中心とし、税法、監査、コーポ―レートガバナンスや統計など広く学べる内容となっています。

①Financial Accounting and Reporting (財務会計

  - 80% Financial Accounting 企業会計(※IFRSを含む)
  -    20% Non-profit Accounting 政府と非営利組織会計

②Regulation (諸法規)

  -  85%  Federal Taxation 連邦税法(うち、15%が税務業務における会計士の責任)
       -  15% Business Law ビジネス法

③Auditing nd Attestation (監査及び諸手続き)

       -  85%  Federal Taxation 連邦税法(うち、15%が税務業務における会計士の責任)
       -  15%  Business Law ビジネス法

④Business Environment and Concepts (企業経営環境・経営理念)

       - 22%  Corporate Governance コーポレートガバナンス
       - 22%  Economics 経済学概論
       - 20%   Information Systems IT概論
       - 36%    Financial Management / Operations Management 管理会計

 参照:http://www.cpa-tac.com/us/gaiyo/guiyo01_02.shtml

最初に合格した科目の受験日から、18か月以内に全科目合格する必要があります。

試験は、日本国内で受験可能です。東京の場合は、御茶ノ水のテストセンターです。試験時間は4時間であり、休憩時間を間に15分とれるものの、非常に疲れる試験です。

日本の公認会計士は、年に1回または2回しか試験を受験することができませんが、USCPAはテストセンターで各科目各test widowに1回(四半期に1回)受験することができます。日程も自由に選べます。

USCPAの1回の受験料は、為替によりますが65,000円程度です。

1.3 USCPAの受験資格

日本の公認会計士の受験に特に受験資格は無い一方、USCPAの受験には州ごとに受験資格が設定されております。例えば、私が資格取得を進めているワシントン州では下記の受験資格が設定されています。

【受験要件】

学歴:4年制大学

大学の単位:150単位以上(会計科目24単位以上、ビジネス科目24単位以上を含む)

私は会計科目が足りなかったため、アビタスという予備校に通い不足単位を取得しました。

1.4 USCPAのライセンス取得要件 

ライセンス取得には、受験資格と同様に州ごとに取得要件が定められています。ワシントン州の場合は下記の取得要件が設定されています。

【ライセンス取得要件】

実務経験:1年(2000時間以上)

※実務として認められるものは、一般事業会社・政府系機関・会計事務所のいずれかでの業務。会計業務、予算管理、データ分析、内部監査、税務、管理業務、財務分析、監査業務などの実務を指す。

わたしはもともと事業会社で営業をしていたので、現在は全科目合格、実務経験の要件を満たしている最中です。 

 2. 受験しようと思ったきかっけ

 キャリアアップなどかっこいい理由があればよかったのですが(笑)過去の記事に、受験しようと思ったきっかけを書いておりましたのでそのまま抜粋します。

「プライベートなことなのであまりおおっぴらに言ってこなかったのですが、私がUSCPAの勉強を始めたのは就職活動の失敗がきっかけです。失敗というと前職の人に怒られちゃいますね(笑) 前職はとてもとても良い会社で今でも入社して良かったなと思っています。ただ、私には自分の人生の中でこんなことがやりたいな〜と思う仕事があったのですが、前職ではそれをすることが特にプロパーには難しかったんです。
新卒で入社後、自分のやりたい仕事がどうしても諦められなくて、どうしたらやりたいことに近い仕事に近づけるかな〜と悩み、また働いてみて初めてわかる、仕事における自分の得意なこと苦手なこと、好きなこと嫌いなことを鑑み、思い切って業種や職種を変えようと決めました。業界未経験、実務経験無し、資格も何も無しでは業種や職種の変更は難しいと考え、資格を取るぞーと決めました。JCPAではなくUSCPAを取ろうと考えたのは時間の制約のためです。きっと業種や業界を変えられるのは20代のうちだと考え、また勉強のために仕事を辞める勇気もなかったので、現実的に働きながら3年以内に合格を目指せる方にしようと考えました。」

nana7chan.hatenablog.com

 3. 受験時のわたしのスペック

わたしは約3年かかって全科目合格しましたが、当時のスペックは下記です。

・年齢:25歳

・仕事:事業会社勤務・営業職 (残業40h/月 程度)

・会計知識:ほぼ無し (簿記3級は持っていたかも・・?)

・英語:TOEIC 900∔

英語に苦手意識はなかったものの、会計知識ほぼ無しで当時のわたしはよくUSCPAを目指そうと思いましたね(笑)

 4. 勉強方法

4.1 スクール選び

受験資格を満たす会計単位を取得する必要があったわたしは、独学という選択肢はなくスクールに通いました。USCPAのスクールは、下記の4つが大手かと思います。

・アビタス (https://www.abitus.co.jp/

・TAC (http://www.cpa-tac.com/us/

・資格の大原 (https://www.o-hara.ac.jp/best/uscpa/

プロアクティブ (https://www.uogjp.com/

わたしは上記の4校を比較し、アビタスに通いました。わたしの知り合いでUSCPAを受験されている方はほぼアビタスの方が多かったです。土日に教室に通って授業を受けるか、オンラインのWebラーニングで授業を受けることで学習を進めますが、私は土日にいっきに受けるよりも平日のスキマ時間を利用して受ける方が好きでしたので、オンラインで勉強することが多かったです。

ちなみに、USCPAの独学はお勧めしません。USCPAの市販のテキスト、特に日本語のテキストがそもそもないことと、法改正によって試験内容が更新されるため、最新の情報を常に得る必要があるためです。

4.2 科目の勉強順序

わたしのおすすめの順序は、FAR→AUD→REG→BECです。

FARは学習量も4科目の中で1番多く、またその他の科目の基礎となる知識を学びますので1番に着手すべき科目だと思います。AUDやREGはもちろん財務会計の知識がないとすすめられませんし、BECのWritten Communication(記述問題)でも財務会計の知識が問われたりします。

2番目はAUDです。FARの知識が最も必要であり、試験でも問われる可能性が高いので、FARを覚えている間に受験すべきだと思います。

3番目はREGです。FARの次にボリュームが多いですので、最後に回すとしんどい科目です。

4番目はBECです。4科目の中で1番ボリュームは少なかったと思います。また、経済学やIT、統計などほかの科目の知識が1番必要とされない科目だったと思います。

 各スクールによって推奨する受験順序がありますので、スクールにぜひ相談してみてください。

4.3 おすすめ勉強方法

18か月以内に4科目を合格しないといけませんので、4科目の内容を全部一通りさらってから、1科目ずつ受験しました。受験を進めるなかでいろんな勉強方法を試しましたが、よかったなと思う勉強方法を記載します。

4.3.1 テキストの使い方

授業を受けたあとに女子はノートを作りがちですが、これは情報が分散するので個人的にはおすすめではありません。情報の参照先は常に1カ所にまとめるのがよく、ノートに書いたり、問題集に書き込んだりするよりも、学んだ情報はすべてテキストに書き込み、何かわからないことがあればまずテキストを確認するように癖づけることがおすすめです。(試験前は、テキストの重要事項のまとめという形でノートを作っていました)

4.3.2 暗記の仕方

USCPAはとにかく暗記する内容が多いです。スマホのヘビーユーザーだった私は、とにかくスキマ時間でスマホで見られるフラッシュカードのアプリをインストールしiPhoneに入れました。私が使ったのは「単語帳アプリ 単語帳メーカー」という無料のアプリで、暗記カードをExcelで作りアプリに流し込んでいました。記憶力が年々落ちるアラサー受験生には本当におすすめです。

https://apps.apple.com/jp/app/単語帳アプリ-単語帳メーカー/id1124195119?mt=8

4.3.3 勉強した時間の記録のススメ

「今日はがんばったぞ!」と思う日も、実際に勉強時間を計ってみたり、解いた問題数を数えてみると実は思ったほどできていないことがたくさんありました。「こんなに努力したのになぜ報われないの?(涙)」と思っているときに、自分の努力をちゃんと図ってみると思ったより努力できていなかったことがあります。自分の進捗を正しく認識するために、勉強時間や解いた問題数、正答率を見えるかし、記録することはとても大事だと思います。(あと、その記録を試験前に見返すと、「わたしはこんなに勉強したから大丈夫!」という自信にもつながります)

4.3.4 Twitterで勉強仲間を作ることのススメ

わたしはTwitterUSCPA勉強用のアカウント(@7_nana_study)を作っていたのですが、これがとてもよかったです。わたしの周りにはUSCPAを勉強している人がそんなに多くなく、情報交換が難しかったためTwitterを利用しました。タイムラインには、試験範囲の変更の情報が流れていたり、スコアリリースの日は一緒に合格を喜べたり、くじけそうな日に励ましあったり、社会人がマイナー試験を受けるのにとてもよかったと思います。下記が私の勉強用アカウントです。受験記録が詰め込まれているのでよかったら覗いてみてください。

4.3.5 MC問題の正解じゃない選択肢にへの着目

MC問題については、正しい回答を選ぶことはもちろん、「正解じゃない回答はなぜ正解ではないのか?」を理解するようにすると格段に理解があがりますのでお勧めです。

4.4 使用教材

 わたしはREGとFARはアビタスの教材のみで、AUDとBECはアビタスの教材に加えてWileyの教材を使用しました。アビタスの教材のみで合格されている方はたくさんいらっしゃいますが、個人的にはWileyの問題集の併用がおすすめです。REGやFARの試験の際は、「こんな問題初めて見た・・!」という問題が難題か出ましたが、Wileyの教材を併用するとそう思うことはありませんでした。確実に75%以上を取りに行くためには、Wileyの利用がおすすめです。

Wiley CPAexcel Exam Review 2018 Study Guide: Complete Set (Wiley Cpa Exam Review)(スタディガイド)

Wiley CPAexcel Exam Review 2018 Study Guide: Complete Set (Wiley Cpa Exam Review)(スタディガイド)

  • 作者:Wiley
  • 出版社/メーカー: Wiley
  • 発売日: 2018/01/11
  • メディア: ペーパーバック
 

 5. 受験記録

下記がわたしの受験記録です。9回も受験しました(笑)何度も心が折れそうになりましたが、本当によくがんばったと思います・・・!ちなみに4回ストレート合格している友人もいましたので、本来であればこんなに受験回数を重ねる試験ではないと思います。75%で合格の試験で、毎度ギリギリで合格しています(笑)

2017.7.23 REG 64 fail 

2017.10.23 FAR 72 fai

2018.2.3 REG 76 pass ◎

2018.6.8 FAR 70 fail
2018.8.4 FAR 76 pass ◎

2019.1.6 AUD 72 fail
2019.4.20 AUD 71 fail
2019.6.10 BEC 76 pass ◎
2019.8.26 AUD  77 Pass ◎

 

 6. 合格までかかった時間と費用

6.1 費用

・アビタス受講代 763,000円

・Wiley問題集代 約5,000円 x 2冊 = 10,000円

・学歴評価代 $200

・受験料  (1科目1回受験あたり)

 - 出願料  $50

 - 受験料  $208.40

 - 米国外受験料  $356.55

   ⇒ 小計 $614.95 

   ⇒ 9科目受験合計 $5,534.55

$1=110円で計算すると、1,403,800円

6.2 勉強時間

ざっくり計算ですが、およそ2000時間ほど勉強したと思います。

<試験期間外>

2016年4月ごろ~2017年4月ごろ(約1年)

平日1時間を週3日、休日3時間を週1日平均して勉強したと仮定

⇒ 288時間

<試験期間>

2017年4月~2019年8月ごろ(約2年4か月)

平日2.5時間を週3日、休日4時間を週2日平均して勉強したと仮定 

⇒ 1,736時間

7. 合格そして転職

わたしは2科目合格の段階で、ちょうど見つけた希望の職種に転職し、その後現職で2科目合格し全科目合格に至ります。勉強を始めるときに思い描いていた仕事に近い仕事に就けて、今は本当に日々幸せに働いています(笑)

USCPA取得後のキャリアとしては、下記のいずれかに進む人が多いようです。

監査法人での監査業務

監査法人/税理士法人でのアドバイザリー業務

・ファイナンシャルアドバイザリーサービス(FAS/TAS)

・事業会社の経理業務

・事業会社の内部統制業務

USCPAの場合英語が得意な人が多いためか、グローバルな仕事を求めBig4へ転職する人も多いようでした。わたしが転職活動を行った際は、BIG4への門戸はかなり開かれているように感じました。

8. 所感

私にとっては、時間的にも、金銭的にも、メンタル的にもとてもしんどい資格でしたが、結果今の仕事に転職することができ本当に満足しているので、挑戦して良かったと心から思っています。現在USCPAの学習を進められている方には、ぜひあきらめず最後まで頑張ってほしいなと思います。

あと、広く浅く多くのことを学べたのはとてもよかったです。財務会計管理会計・政府会計・監査・税法・ファイナンスなど、浅い知識ではありますが一通り知識として習得することができ、初めての会計の世界でも「なんとなく」会話の内容がわかるようになったのはよかったです。

ただ、わたしがもう一度USCPAを受験する前に戻ったならば、受ける試験は違うものだったかもしれません。現在、日本で会計に関連する仕事をしていますが、仕事をしていて思うのは「私は日本の会計基準や監査基準を知らない」ということです。日本で働くにも関わらず、なぜ米国の会計基準や監査基準を膨大な時間を割いて勉強するのか?ということをもう少し考えたと思います。わたしにとってのUSCPAは、20代のうちに他業界・会計業務未経験から、会計の世界に移るパスポートのようなものでした。ただこのパスポートは、もしかしたらUSCPAではなくてもよかったかもしれません。簿記1級など違う資格も検討してみるべきだったなと今では思います。とはいえ、会計の世界の人々は何かしら名刺にかける資格をもってらっしゃる方が多いので、今取らなかったとしても人生のどこかで挑戦していたかもしれないな、と思います。

 

9. これまでいただいたQ&A

Q1. 

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A1. 直接的には関連しませんが、会計の知識が必要な仕事なので学んだ内容は生かされています。3年以上かかった理由は、飲み会に行ったり旅行にいったり、結構だらだら勉強していたからだと思います(笑)26歳―28歳は楽しいことも多くて、勉強だけに集中できませんでした(笑)

 

Q2. 

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A2. BECのWritten Communicationは、「CPA Written communication」でぐぐるとサンプル問題がたくさん出てきますので、サンプル問題を解く⇒回答を写経する を繰り返しました。1題あたり10分で回答するように練習もしました。

 

Q3. 

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A3. 「2. 受験しようと思ったきっかけ」を参照してください。

Q4. 

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A4. 合格できるかと思いますが、確実に75%以上を取りに行くにはWileyを使ったほうがいいと思います。順番及び勉強法は、「4. 勉強方法」を参照してください。

Q5. 

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A5. アビタスの問題集とWileyの問題集をやりこみました。受験が3回目とあって、単純に勉強量が多かったことが決め手だと思います(笑)あとは、勉強法のところにも書きましたが、正解じゃない選択肢はなぜ正解ではないのか?を考えるようにしました。これを考えることでかなり理解が深まったように思います。

 

Q6.

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A6. ノートは、試験前の自分の頭に入っていない重要論点だけをまとめるようにしていました。授業を受ける段階でノートを作ることはあまりおすすめしないです・・・。

 

Q7. 

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A7. 難関資格の受験頑張ってください!月の残業時間はだいたい40h/月程度だったと思います。日々の勉強時間は、だいたい平日2.5時間を週3日、休日4時間を週2日だったと思います。

 

Q8. 

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A8. 今の職場、今の業務がとても好きなので、この仕事でキャリアアップしたいなと考えています。

 

Q9.

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A9. Q5の回答を参照してください。

 

Q10

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A10. ありがとうございます!挑戦して良かったと思います。評価されるかどうかは、転職先によって大きく異なると思いますが、会計関連の業務で未経験可の職種の場合は評価してもらえるケースが多いのではないかと思います。詳細は転職コンサルタントの方にご相談ください。

 

Q11. 

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A11. 分割で支払いました。


Q12. 

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アビタスのテキストとWileyの問題集です。Wileyは同じくUSCPAを受験している友人にお勧めされたためですが、実際よかったと思います。問題数は多く、また回答も丁寧ですのでわかりやすかったです。ただ、ものすごく分厚いので紙で購入すると持ち運びがとても大変でした。

ながながと読んでいただいてありがとうございました!

 

通勤時間を使って米国公認会計士になれる本 (1)CPA会計

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